​みなさん、こんにちは。
障害福祉の情報を基に、時事問題や政治、居住支援といったテーマで毎日2本~4本のブログを配信しております。
本日は少し趣向を変えて、私の個人的な心の休息と、音楽に対する価値観についてお話しさせてください。
私は全盲になってから2年が経ちました。
ある程度の年齢を重ね、視力を失うという大きな経験をすると、かつて日常に溢れていた輝きやときめきを、どこか遠くに感じてしまうことがあります。
それと同時に、あれほど身近だった歌を聴く機会も、以前に比べれば少しずつ減ってきました。
​かつて私は、事業会社をいくつも経営し、多くのスタッフと共に第一線で走り続けていました。
若いスタッフたちとの交流も多く、毎週のようにカラオケやオープンバーへ足を運び、彼らの歌うエネルギッシュな曲や、プロレベルの素晴らしい歌声に耳を傾けるのが常でした。
私は自分からマイクを握ることはありません。
音程を取るのが苦手だと自覚しているからです。
苦手なことに無理に挑戦して肩を張るよりも、本当に歌が上手い人の表現を聴いている方が、私の人生にとってよっぽど豊かで楽しい時間になると考えているからです。
​そんな私の音楽の好みは、どちらかといえば男性グループの歌声に惹かれることが多くありました。
コブクロ、スキマスイッチ、そしてback number。
彼らの紡ぐメロディや歌詞には、これまで何度も心を動かされてきました。
しかし、そんな男性アーティスト中心の私のプレイリストの中で、唯一、女性の声で聴き続けている特別なアーティストがいます。
​Uruさんです。
​Uruさんのアーティストとしての歩みは、非常に個性的で、かつ圧倒的な実力に裏打ちされたものです。
彼女は2013年からYouTube上でカバー動画の投稿を始めました。
ご自身で撮影、編集、さらにはプログラミングまでこなし、100本以上の動画を公開してきたといいます。
その「聞く人を包み込むような歌声」は瞬く間に口コミで広がり、メジャーデビュー前にもかかわらず、YouTubeの総再生回数は4400万回を超え、チャンネル登録者数は14万人を突破するという、驚異的な支持を集めました。
​そして2016年6月、シングル「星の中の君」で待望のメジャーデビューを果たします。
デビュー後も、そのミステリアスな魅力は変わりません。
本名、年齢、出身地などは一切非公開。
その徹底した神秘性は、聴き手が余計な情報を排除し、ただ純粋にその声と言葉に向き合うための、彼女なりの誠実な表現スタイルなのかもしれません。
​Uruさんの素晴らしさは、唯一無二の歌声だけではありません。
彼女は多くの楽曲で自ら作詞、作曲を手がけています。
日常の繊細な心の揺れ動きを丁寧に掬い取る詩の世界観は、聴く者の心に静かに、そして深く染み渡ります。
また、その才能は音楽業界のトップクリエイターたちからも高く評価されています。
これまでに、back numberの清水依与吏さんや、名プロデューサーである小林武史さん、蔦谷好位置さんといった方々とタッグを組み、数々の名曲を世に送り出してきました。
​代表曲には、ドラマ中学聖日記の主題歌となったプロローグ、日曜劇場のテセウスの船の主題歌であるあなたがいることで、そしてマイファミリーの主題歌、それを愛と呼ぶならなどがあります。
どの曲も、静かな始まりから感情が溢れ出すようなサビへと繋がる、圧倒的な表現力に満ちています。
​今の私にとって、Uruさんの歌声は、暗闇の中で見つけた柔らかな光のような存在です。
目は見えませんので、彼女がどのような外見をされているのか、私は知りません。
しかし、そんなことは全く関係ないのです。
夜、ベッドに横たわり、骨伝導イヤホンをつけて、暗闇の中で彼女の歌声を聴きます。
彼女が紡ぐ美しい歌詞の一言一言が、私の心に深く染み渡り、ざわついていた精神状態を優しく安らぎへと導いてくれます。
その歌声に身を委ねるひとときは、私にとって何にも代えがたい大切な時間です。
一方で、これまでの仕事人生の中では、自分の本来の好みとは異なる時間を過ごすこともありました。
お付き合いのある先輩の役員方とスナックへ行き、演歌を聴き、時には歌うことを求められる場面もありました。
それも大切な仕事の一部だと自分に言い聞かせ、相槌を打ち、場を共有することに努めてきました。
演歌には、それをこよなく愛し、人生の喜怒哀楽を重ね合わせて聴いている方々がたくさんいらっしゃいます。
その文化の深さや、愛好する方々の情熱は素晴らしいものだと思います。
​ただ、あくまで私個人の感性の問題として、演歌が心に響くジャンルではなかったというだけのことなのです。
今はもう第一線を退き、仕事としての接待でお酒を飲む必要もなくなりました。
立場上の妥協を終えた今、ようやく私は、自分の心が本当に求める音楽だけを選ぶ自由を手に入れました。
好きでもないジャンルに無理に合わせるのではなく、心から感動できる歌にだけ耳を傾ける。
それが、今の私にとっての誠実な生き方だと感じています。
​歌は、好きな人が歌えばいい。
私は、本当に上手い人の歌が聴きたいし、自分の心が震える曲と共に過ごしたい。
仕事のための時間を卒業し、自分が心から素晴らしいと思えるものだけに時間を費やす。
それが、今の私が自分自身に許した、ささやかな贅沢です。
Uruさんの歌声に包まれるとき、私は確かに、あきらめかけていた心のときめきを再発見しているのです。