タバコは体に悪い。これは誰もが知っている事実です。それなのに、なぜ多くの人がやめられないのでしょうか。
​非喫煙者である私から見れば、今の時代に1箱500円以上もする高価なものをわざわざ購入し、自分自身の健康を害してまでお金を支払う意味が全く理解できません。そのお金があれば、もっと有意義なことに使えるはずです。
​何よりも、タバコを吸わない人間からすると、あの煙は非常に不快で臭いものです。大切なスーツや衣服、また、車のシートにも一瞬で臭いが移ってしまい、臭いは取れません。そもそも、タバコを吸っている時間そのものが完全に盲点であり、もったいないと感じます。もしその時間を他の有意義な活動や自己投資、あるいは休息に充てたなら、人生はもっと豊かで楽なものになるのではないでしょうか。
​最近では電子タバコに変える人も増えていますが、それで解決するわけではありません。電子タバコには電子タバコ特有の、独特で不自然な臭いがあり、周囲への不快感は残ったままです。
​ここで、紙タバコと電子タバコの違いについて整理しておきましょう。
紙タバコはタバコの葉を直接燃やすため、タールや一酸化炭素をはじめとする大量の有害物質と強い煙が発生します。一方の電子タバコ(加熱式タバコを含む)は、葉やリキッドを加熱して蒸気を吸い込む仕組みです。煙が出ないため一見するとクリーンに思えますが、決して体に良いわけではありません。ニコチンなどの依存性物質やその他の化学物質は含まれており、周囲への受動喫煙のリスクや健康被害の懸念は依然として残されています。つまり、形を変えただけで、体に害を及ぼす本質は何も変わっていないのです。
​かといって、私にとって電子タバコなら許せるかというと、決してそんなことはありません。ビジネスの現場でも、タバコを吸う人と一緒に仕事をしていると、喫煙のために何度も仕事が中断されます。一緒に出張へ行っても、ちょっと行っていいですかとその場を離れる。そのわずか10分ずつの積み重ねが、どれほど大きな時間の損失になっているでしょうか。
​さらに、出張時のホテルの予約で喫煙と禁煙をわざわざ分けなければならない手間も煩わしいものです。ホテルの部屋や車の中に一度タバコの臭いが染みつくと、それは一生落ちないレベルの悪臭となり、次に使う人に多大な迷惑をかけます。
​私の息子は幼少期に、強い喘息を持っていました。近くにタバコを吸う人がいるだけで、すぐに激しい発作を起こしてしまうため、常に神経を尖らせていました。昭和の時代は今のような分煙という概念が全くなく、ファミリーレストランに行っても、タバコの煙が来ない席を見つけることすら一苦労でした。
​その当時の記憶があるからか、昭和の小説を読んでいるときに必ずと言っていいほど登場するタバコに火をつける描写に対しても、私は強い嫌悪感を抱いてしまいます。心の中では、この地球上からタバコという存在自体が完全に消え去ってほしいと願っているのが本音です。
​ここで、日本の現状を海外と比較してみましょう。
日本の成人喫煙率は近年減少傾向にあるものの、世界的に見るといまだに対策が遅れていると言わざるを得ません。例えば、オーストラリアやイギリスなどの諸外国では、公共の場での喫煙に対して非常に厳しい罰則を設けたり、タバコ自体の価格を日本の数倍以上に引き上げたりして、国を挙げて喫煙率を徹底的に引き下げる政策を進めています。それに比べると、日本はまだ喫煙者に対して甘い環境が残されているのが現状です。
タバコを吸うのは個人の自由だという意見もあるかもしれません。しかし、それは周りに一切の迷惑をかけないことが大前提です。どうしても吸うのであれば、完全に隔離された指定の場所から一歩も出ず、他人に煙や臭いを吸わせないように徹底してほしいと思います。
​しかし、本心を言わせてもらえば、健康に悪影響しか与えないものは今すぐやめるべきです。タバコをやめられないというのは言い訳に過ぎません。本気で自分の人生や家族、そして周囲の人のことを考えれば、人間は必ずタバコをやめることができます。
​喫煙のために費やしているその無駄な時間を、今日から別の未来ある行動のために使ってみませんか。すべての人がタバコを手放し、誰もが澄んだ空気の中で健康に暮らせる社会になることを、私は心から願っています。