​昨今、働き方の多様化に伴いフリーランスや個人事業主という選択をする人が増えています。しかし、その裏側に潜む大きなリスクについて、社会全体で真剣に議論されているでしょうか。
​個人事業主やフリーランスとして働く場合、原則として加入する公的年金は「国民年金(1階部分)」のみとなります。会社員などが加入する厚生年金(2階部分)のような事業主折半の保険料負担や上乗せ給付がなく、企業退職金のような制度も自前で準備しない限り存在しません。現在、国民年金(老齢基礎年金)の令和6年度(2024年度)満額受給額は月額68,143円(新規裁定者の場合)であり、実際の平均受給月額を見ても5万6,000円台にとどまっています。この金額だけで老後の生活を成り立たせることは、現実的に不可能です。
​老後資金を自助努力で積み立てようにも、毎月の収入が変動しやすいフリーランスにとって、長期にわたり確実な積立を継続することは非常に大きなハードルとなります。結果として、十分な貯蓄を作れないまま老後を迎え、自立した生活が困窮してしまうリスクを常に抱えることになります
​私自身の体験を振り返ると、20歳の時に創業した際、当初はわずか5名程度の小さな会社でした。支払いや資金繰りは決して楽ではありませんでしたが、優秀な社員を保有し守るために、会社設立と同時に社会保険(厚生年金・健康保険)への加入を決断しました。もしあの時、会社を設立せず個人事業主のままスタートしていたら、わざわざ自ら社会保険に入る決断はできなかったでしょう。そして、当時のその決断こそが、その後の年金収入に大きく良い方向で影響し、老後の確実な支えとなっています。
​国民年金は現在、月額17,980円(令和8年度保険料)の保険料を納めたとしても、将来受け取れる年金は満額でも月約6.8万円、平均すると月5万円〜6万円台となり、これ単体で独立した生活を営むのは困難です。そうなると、蓄えが尽きた時点で最終的に生活保護に頼らざるを得ない構造的な問題を抱えています。
松戸市で政治家と共に進めている政策や地域課題に向き合う中でも生活保護費の負担増が市政の財政を圧迫している現実に直面します。もちろん、病気や障害など真に働くことができない方々にとって、生活保護はなくてはならない重要なセーフティネットです。私自身も伴走型支援などを通じて、生活困窮者の方々の生活保護申請のお手伝いや生活再建に取り組んでいます。
​しかし問題なのは、若い頃から社会保険に入れず、国民年金だけで放置してしまう国のシステム自体に根本的な不備があり、本来防げるはずの困窮が発生している点です。制度の欠陥によって将来的に生活保護へ移行してしまう人を増やしている状況は、絶対に避けなければなりません。
​結論として、国民年金だけでは生活できない以上、そのシステム自体を抜本的に改めるべきです。働き方に関わらず、国民全員が厚生年金に加入できるような制度へ切り替える改革が必要です。単なる個人の自己責任に押し付けるのではなく、国の社会保障システムを時代に即した持続可能な形へと再構築していくことが今まさに求められています。