【黒字経営の中に潜む民間病院の闇 過剰な検査と高額給与がもたらす医療崩壊の危険性】

      

【黒字経営の中に潜む民間病院の闇 過剰な検査と高額給与がもたらす医療崩壊の危険性】

女性の方が病院で、CTスキャン検査を放射線技師の指示に従い撮影している画像です。
医療は人の生命や健康を守るための公共性の高い存在です。しかし、現在の医療現場では、病院経営の存続や黒字化を目的とした過剰な診療、そして高額医療機器の回収負担が深刻な問題となっています。かつて高額医療機器の開発やシステム事業に携わっていた視点から、病院経営の裏側と、歪められた医療の現実について問題提起をいたします。
​公的データから見る高額医療機器の導入コストと回収の現実
​病院やクリニックが設置している医療機器には、膨大なコストがかかります。
​超音波診断装置(エコー)
導入費用は約500万円から2,000万円程度です。
​レントゲン撮影機
導入費用は約1,000万円から3,000万円程度となります。
​CTスキャン
導入費用は約3,000万円から1億円程度です。
​MRI装置
本体価格や防音・シールド工事費を含めると導入費用は約1億円に達します。さらに電気代やメンテナンス費用、専門技師の人件費などを合わせると、維持費だけで年間約1,500万円から2,000万円以上が発生します。
​これだけの巨額投資を減価償却し維持費を稼ぐためには、毎日一定数以上の患者さんに対して検査を実施し続けなければなりません。例えばMRIの場合、撮影1件あたりの診療報酬が約1万5,000円から2万円であることを考えると、機器代と人件費・維持費を回収するためには1日に最低でも5件から10件程度の稼働が必要となります。撮影だけでなく画像解析にも時間がかかるMRIを継続稼働させるため、現場では「検査枠を埋めること」自体が目的化する構造的リスクを抱えているのです。
​黒字化の陰で行われる不要な検査と医療の歪み
​日本病院会などの調査によると、現在における全病院の7割以上が医業赤字の状態にあります。経営悪化を理由に公営・公立病院を削減し、民間に移行させようとする動きが自治体で強まっています。
​しかし、黒字化を果たしている民間病院や大規模クリニックの裏側では、営業会社のような「売上目標」や「歩合制」が導入されている例が存在します。
​厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などの公的データによれば、一般的な勤務医の平均年収は約1,500万円と集計されています。これが医療現場における一般的な客観的指標です。しかし現実には、医療現場からの具体的な情報として、一部の民間病院や歩合制を積極的に導入している施設において、プロ野球選手のような実績連動型の契約が交わされ、年収3,000万円から4,000万円という極めて高額な給与が支払われているケースが存在します。
​公的統計が示す「年収1,500万円」という相場に対し、一部の民間施設で「年収3,000万円から4,000万円」もの高額報酬が成立している背景には、売上や検査件数に応じたインセンティブ構造が存在するためです。
​こうした歩合制や売上目標が導入されると、医師の倫理観が損なわれる懸念が生じます。
本来ならメスを入れなくても済む病状に対して不必要な手術を行ったり、症状が安定しているにもかかわらず「定期診断」という名目で3ヶ月おきに通院させたり、過剰なCT・MRI撮影を実施したりする事態が発生します。
​同様の問題は、街のクリニックや眼科等でも見られます。最新の検査・治療機器を揃えた施設で、必要性の低い精密検査を定期的に課したり、レーザー治療や白内障手術を急がせたりするビジネスモデルが見受けられます。
​公営病院の必要性と行政・医師会に求められる厳格な対応
​赤字で倒産寸前になる公立病院も問題ですが、黒字経営を誇りながら無駄な診療や過剰検査で利益をむさぼる民間病院もまた同等に大きな問題です。メディアや動画配信で「黒字経営」や「医師への高給支払い」を自慢し、赤字病院の買収によって拡大を続ける事業モデルがあっても、それが患者への過剰治療によって成り立っているならば本末転倒と言わざるを得ません。
​公営・公共の病院は、不必要な利益追求を行わず、地域医療のセーフティネットとして必要不可欠な機能を担っています。採算性だけを理由に公営病院を民間に切り替えてしまえば、医療倫理の崩壊に拍車がかかる恐れがあります。
​日本医師会や厚生労働省は、単に「黒字だから優秀」と評価するのではなく、本当に必要な医療が提供されているのかを監視しなければなりません。診療内容に対する定期的な厳格調査を実施し、行政指導を徹底することが不可欠です。
​外科医の訴訟リスクや医師不足といった課題は厳然として存在します。しかし、医師の給料が売上追求の形で過剰に高騰し、不要な治療が横行すれば、国の医療費や社会保障制度、ひいては高齢者介護計画そのものが破綻してしまいます。医療の原点である「本当に病に苦しむ人を救うこと」へ立ち返り、適切な透明性の確保と行政の厳格な指導が強く求められています。
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