【てんかんを正しく知る〜人にも動物にも寄り添う社会を目指して〜】

      

【てんかんを正しく知る〜人にも動物にも寄り添う社会を目指して〜】

若い女性が悩みを抱えもがいている画像です。

福祉支援団体 EYESROOMのブログにお越しいただきありがとうございます
​本日のテーマは「てんかん」です。
数ヶ月前からサポートをさせていただいている生活保護を受けている若い女性の方は、重いてんかんの発作と精神状態がとても不安定で日中でも横になってしまうことが多い状態でした。
​また、私が以前飼っていた愛犬もてんかんを抱えており、毎日抗てんかん薬を服用させ、毎月動物病院に通院していました。しかし完治することはなく、何らかの原因で定期的に発作が起こっていました。症状がひどい時には「命を落としてしまうのではないか」と思うほど食べたものをすべて嘔吐し、体重が3キロにも満たない小さなトイプードルの体が、まるで息絶えたかのようにピクピクと痙攣(けいれん)していました。
人間の話と愛犬の話を同列にするなとお叱りを受けるかもしれませんが、支援させていただく方々はもちろんのこと、私にとって愛犬も代わりのきかない大切な家族でした。
​本日は、この「てんかん」という病気について、医学的な観点を交えながら深く学んでいきたいと思います。
​てんかんとはどのような病気か
​てんかんは、脳の神経細胞(ニューロン)に過剰な電気的興奮が起こることで、手足の痙攣や意識障害などの発作(てんかん発作)を反復して引き起こす慢性的な脳疾患です。世界保健機関(WHO)の定義でも脳の疾患とされており、決して特別なものではなく、100人に1人程度が発症する比較的頻度の高い病気です。
​医学的には、発作のタイプによって「全般発作(脳全体が同時に興奮する)」と「焦点発作(脳の一部から興奮が始まる)」に大別されます。症状も、意識を失って倒れる大発作から、一時的に意識が飛ぶだけの小発作、体の一部がピクッと動く程度のものまで様々です。
​てんかんは治る病気なのか、治らない病気なのか
​てんかんの治療は、主に抗てんかん薬による薬物療法が行われます。適切な投薬管理を行うことで、全体の約7割から8割の患者さんは発作を完全にコントロールし、日常生活に支障のない状態(寛解状態)を維持することができます。
​症状が数年間完全に抑制され、医師の判断のもとで薬を徐々に減量・中止できる場合もあります。ただし、完全に薬を必要としない「完治」に至るかどうかは個人差があり、残りの約2割から3割の方は複数の薬を組み合わせても発作が残る「難治性てんかん(薬剤抵抗性てんかん)」と診断されます。
​「治らない病気」と一括りにするのではなく、「適切な治療でコントロール可能な病気」と捉えることが大切です。
​てんかんと発達障害・知的障害との関係
​てんかんは、発達障害(自閉スペクトラム症やADHDなど)や知的障害と合併することが知られています。これは、脳の機能発達や神経ネットワークの形成過程において、共通の背景要因が存在することがあるためです。
​特に重度の知的障害を伴う場合や、乳幼児期に発症する難治性てんかん症候群(ウエスト症候群など)では、脳の損傷や遺伝的因子が関与しているケースが多く見られます。ただし、発達障害や知的障害があるからといって必ずてんかんを併発するわけではなく、逆にてんかんがあるからといって必ず障害を伴うわけでもありません。それぞれの特性に合わせた多角的なサポートが必要です。
​最新の治療法にはどのようなものがあるか
​近年、てんかんの治療選択肢は大きく広がっています。
​新規抗てんかん薬(AEDs)の開発
効果が高く、副作用や相互作用が少ない新しい抗てんかん薬が登場し、個人に合わせた精密な薬物療法が可能になっています。
​外科的治療(てんかん手術)
焦点性てんかんで発作の発生源(焦点)が特定でき、脳の重要機能を害さずに切除できる場合、手術によって発作を劇的に改善させる手法が確立されています。
​神経刺激療法
迷走神経刺激療法(VNS)や、脳内に電極を配置して異常波形を感知・抑制する脳深部刺激療法(DBS)など、医療機器を体内に植え込んで電気刺激を与える治療法が実用化されています。
​食事療法
難治性てんかんに対して、炭水化物を極力抑えて脂質を多く摂る「ケトン食療法」や「修正アトキンス食療法」が、有効な治療選択肢として用いられています。
​てんかんを持つ人が生活上で気をつけるべきこと
​発作の頻度を下げ、安全に日常を送るためには、生活習慣の管理が欠かせません。
​服薬の徹底(服薬コンプライアンス)
医師の指示通りに時間を守って服薬することが最優先です。自己判断での中断や飲み忘れは、重篤な発作(てんかん重積状態)を誘発する危険があります。
​十分な睡眠と規則正しい生活
睡眠不足や極度の疲労、強いストレスは発作の大きな引き金(誘因)となります。
​光刺激やアルコールの回避
一部の光誘発性てんかんでは、点滅する光や画面の刺激を避ける必要があります。また、過度な飲酒は薬の効果を弱めたり発作を誘発したりするため控えましょう。
​安全対策の徹底
お風呂に一人で入る際はシャワーのみにする、高所での作業を避けるなど、万が一発作が起きた際の怪我を防ぐ工夫が求められます。
難病を持っていて、13年間生きて2年前に虹の橋を渡った、トイプードルの女の子の写真です。
​人間のてんかんと犬のてんかんは同じなのか
​人間と犬のてんかんは、病態の仕組みにおいて非常に酷似しています。
​犬のてんかんも、脳の神経細胞が異常に興奮することで起こる脳疾患であり、医学的・獣医学的な定義や発作のメカニズムはほぼ同一です。犬のてんかんも大きく「特発性てんかん(原因不明・遺伝的要因)」と「構造的てんかん(脳腫瘍や脳炎などが原因)」に分けられます。
​治療においても、フェノバルビタールやゾニサミドといった人間用と同じ成分の抗てんかん薬が獣医療で使われており、毎日の投薬による発作コントロールを目指す点も共通しています。人間であれ動物であれ、適切な医療と周囲の優しいサポート、そして家族の深い愛情が必要であることに変わりはありません。
​おわりに
​てんかんという病気は、正しい医学的知識と周囲の理解があれば、誰もが自分らしく安心して過ごせる病気です。
​私たち福祉支援団体 EYESROOMでは、精神的な不調や身体的な課題、そして多重債務などの複雑な困難を抱えた方々に対し、一人ひとりの声に丁寧に耳を傾け、自立に向けた包括的なサポートを行っています。
​人であっても、大切な家族である動物であっても、命の重さに違いはありません。病気や障害、生活の困りごとを抱えるすべての人たちが、孤立することなく支え合い、互いを尊重して生きられる「共生社会」の実現を目指し、EYESROOMはこれからも寄り添い続けます。
​困ったときは、どうぞ一人で抱え込まずに私たちにご相談ください。
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