【北里大学の合同慰霊祭に寄せて〜未来の医療と命を支えた尊い志〜】

      

【北里大学の合同慰霊祭に寄せて〜未来の医療と命を支えた尊い志〜】

医療の発展や病因の究明、そして未来の医療を担う医師の育成の為に検体、病理解剖、献体に協力いただいた方々と、その決断を支えられたご家族に深く感謝し追悼を捧げる、北里大学の合同慰霊祭をイメージした数百人規模の画像です。
医療の発展や病因の究明、そして未来の医療を担う医師の育成のために、検体、病理解剖、献体にご協力いただいた方々と、その決断を支えられたご家族に深く感謝し、追悼を捧げる北里大学の合同慰霊祭という大切な行事があります。
​この慰霊祭は、ご遺族をはじめ大学関係者や医療従事者が一堂に会し、尊いご貢献に対する感謝と哀悼の意を表すために毎年大切に執り行われている行事です。今年は、10月30日の金曜日に執り行われる予定です。
​私の知人も、約1年前に原発不明の癌によって尊い命を失いました。数ヶ月前から腰の痛みを訴えてはいたものの、もともと仕事柄腰に負担がかかる環境であったため、以前から長く通院を続けていました。
最終的にその腰の痛みが癌の初期症状であったのかは今となっては分かりませんが、総合病院を受診し緊急入院が決まってからわずか1ヶ月という短期間で、癌により他界してしまったのです。発見された時にはすでに膵臓を含めた複数の部位へ転移が進行していました。
​癌が一体どの部位から発生したのか、なぜ自覚するような激しい痛みがなかったにもかかわらず、わずか1ヶ月で命を落としてしまったのか。ご家族にとっても大変辛く複雑な心境の中、どのような病気が発生源であったのかを突き止めるため、そして今後の他の患者さんの治療に役立ててもらうため、解剖の同意という非常に重い決断を下されました。
​医学的に「原発不明癌」は全癌の数パーセントを占め、転移巣が先に見つかり発生元の臓器が特定できない状態を指します。画像診断や組織検査の技術が進歩した現代においても、生前の段階では発生臓器の特定や治療法の選定が非常に困難なケースが存在します。病理解剖によって得られる詳細な組織情報や病態解析データは、臨床現場における診断精度の向上や未知の病態解明において、今なお代えがたい貴重なエビデンス(医学的根拠)となっています。
​現在、医療の世界ではAI技術の進化に伴い、遺伝子解析や分子レベルでの癌研究が飛躍的なスピードで進んでいます。AIを用いたゲノム解析や深層学習モデルは、癌細胞のDNAメチル化情報や遺伝子変異パターンを分子レベルで精査し、これまで解明が難しかった原発臓器の推定や、個々の患者さんに最適な分子標的薬・免疫療法の特定を可能にしつつあります。
​将来的に次世代の超精密医療(プレシジョン・メディシン)が確立されれば、癌細胞の増殖メカニズムを分子レベルでピンポイントで抑制し、癌を克服できる時代が必ず訪れると確信しています。
​最新医療が完成するまでの過程において、解剖や検体の同意という選択は、ご遺族にとって身を切られるような苦しく辛い決断となります。しかし、このように大きな勇気と慈悲の心を持った方々が存在するからこそ、医学のエビデンスが積み重なり、未来の命が救われていきます。
​いつの日か、癌という病が完全に克服される日が来ることを私は強く信じています。 
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