​いつも視覚障害当事者のブログを読んでいただき、ありがとうございます。
今回、ブログのアイキャッチ画像として掲載した写真は、私の日々の生活や目のケアを支えてくれている大切な道具たちです。写真の左側から順番にご紹介いたします。
​まず、写真の一番左側に写っている青い機器は、日常生活用具としても認知されている「プレックストーク(PLEXTALK)」というデジタル録音図書(デイジー図書)再生機です。音声で読書を楽しんだり情報収集をしたりするために、私にとって欠かせない大切な相棒となっています。
​次に、その中央に並んでいるのは、私の緑内障および高眼圧症の治療に欠かせない3つの医療用点眼薬です。
1本目(左)は「グラアルファ配合点眼液」です。眼の中の液体(房水)の排出を促すと同時に作られる量を抑え、眼圧を下げるお薬です。
2本目(中央)は「ドルモロール配合点眼液「TS」」です。房水が作られるのをしっかり抑えることで強力に眼圧を下げる効果があります。
3本目(右)はロート製薬(ROHTO)が製造する「アイファガン点眼液0.1%」(2.5mL)です。房水の産生抑制と排出促進の両方に働きかけ、眼圧を下げる緑内障治療薬です。
​これらの点眼薬の左横にある樹脂製のものは、目が見えなくても点眼容器を裏から差し込むことで、自動的に目の中心へ目薬が落ちるように設計された「視覚障害者用の点眼ガイド」です。
​そして、写真の右側に見える金属バンドの腕時計は、セイコー(SEIKO)の視覚障害者用音声腕時計です。ボタンを押すだけで現在時刻を明確な音声で教えてくれるため、日常の時間管理にとても重宝しています。
​皆さんもお薬の数や私の状況からお分かりかと思いますが、私は緑内障によりほぼ全盲の状態です。左目は8年前から完全に真っ暗で、右目はわずかに明かりを感じ、目の前で手を振ってもらうと大きな物体がチラチラと動いているのが何となく分かる程度です。
​医師からは実質的な全盲と言われており、身体障害者等級も視覚障害1級の認定を受けています。それでも私は諦めが悪く、眼圧を抑える飲み薬を朝晩に服用し、こちらの3つの目薬も毎日朝晩に点眼しています。
​左目はすでに完全に光を失っているため、医師からは「左目には目薬は差さなくてもよい」と言われています。しかし、不思議なことに右目よりも左目の方が、薬をつけないと痛みを感じてしまうのです。そのため、私は今でも両方の目に点眼を続けています。
​ところで、全く目が見えない状態で目薬をさすことがどれほど難しいか、皆さんは想像できますでしょうか。
よろしければ、一度目をつぶって、自分の目の真ん中に目薬をぴったり落とそうとしてみてください。実際にやってみると、これが想像以上に難しいことがお分かりいただけると思います。
​目が見えているときは、目薬の容器が目に近づいてくる距離感や位置を自然に視覚で把握し、指先の感覚と合わせながら黒目の真上で一滴二滴と落とすことができます。
しかし、視界が完全に閉ざされていると、目薬の先端が今目のどの位置にあるのかという距離感や角度がまったく掴めなくなってしまいます。
​弱視の頃にはさほど苦労しなかったのですが、完全に光を失ってからは、この感覚だけに頼る点眼が大きな壁となりました。生まれつき全盲の方であれば手元を巧みにコントロールされるのかもしれませんが、私は8年前に途中で光を失った中途失明者ですので、どうしても不器用さが残ってしまいます。
​そこでやむを得ず導入したのが、写真に写っている「点眼ガイド」です。
このガイドを使う際は、まず頭を真上に向けて平行に寝かせた状態をつくります。そして、ガイドの裏側に目薬のボトルをしっかり差し込み、ガイドの枠を目元に沿わせて固定することで、目が見えなくても強制的に容器の先端が目の中心へ向くようにセッティングします。
​このように頭を水平にして上からまっすぐ点眼するのですが、それでも2回に1回は少しずれてしまい、目の周りが濡れてやり直しになってしまうのが日常茶飯事です。
​ここまで視力が悪くなったのなら、いっそ諦めて通院も点眼も飲み薬もすべてやめるべきなのだろうかと悩むこともあります。しかし、まだ右目に明かりを感じられている以上、うっすらとでも世界をとらえていたい。だからこそ、諦めずに治療を続けようと心に決めています。
​また、近年のテクノロジーの進化にも大きな希望を抱いています。特に注目しているのが、イーロン・マスク氏が率いるニューラリンク(Neuralink)社が開発を進めている、脳の視覚野にインプラント(ICチップ)を埋め込んで視覚を再構築する最先端の視覚補綴デバイス「ブラインドサイト(Blindsight)」です。
​この技術は、カメラが捉えた映像データをワイヤレスで脳のインプラントに送信し、視覚野を直接電気刺激することで失明した人々の視覚回復を目指すものです。アメリカのFDA(食品医薬品局)からも優先的に開発を進めるための「ブレークスルー・デバイス(画期的医療機器)」指定を受けており、臨床試験に向けた取り組みが着実に進められています。
​私自身、もし機会があるなら人体実験になっても構わないという強い気持ちでいます。今後日本でもこうした臨床試験が始まっていくことを心から願っていますし、海外で進む最先端技術の動向に大変期待しています。
​いつの日か、真っ暗な世界からもう一度、沖縄のあの青い海と青い空をぼんやりとでもいいから自分の目で見てみたい。最先端の医療技術がそんな夢を叶えてくれる時代を心待ちにしながら、これからも病院に通い、諦めずに自分の目と向き合い続けていくつもりです。