​ついに、この日がやってきました。
​視覚を失い、全盲となってからの2年間。私はずっと問い続けていました。様々なボランティア活動がある中で、目が見えない私だからこそ活躍できる場所はないのだろうか、と。
​地元の社会福祉協議会にボランティア登録をしたものの、なかなか具体的なお呼びはかかりませんでした。もどかしい日々を過ごしていたある日、ショッピングモールを歩いていた私の耳に、ある声が飛び込んできたのです。それは、日本赤十字社による献血への協力を呼びかける声でした。
​その瞬間、胸の奥で熱いものが弾けました。
「これだ。声を出すだけなら、私にもできる!」
​私はこれまで、様々な活動でリーダーを務めてきました。大きな声を出すこと、想いを言葉に乗せて届けることなら、誰にも負けない自信があります。迷うことなく、すぐに日本赤十字社へ連絡を入れました。
​もちろん、最初からすべてが平坦だったわけではありません。しかし、日本赤十字社は私の熱意を受け止め、「サポートをしてくれる人が同伴するなら、ぜひ参加してください」と、素晴らしい妥協点を見出してくださいました。
​そこから私の新たな挑戦が始まりました。同行援護ヘルパーさんの募集を出したところ、大変ありがたいことに、たくさんの方から応募をいただきました。その中から、社会貢献やボランティアに対して特に強い想いや関心を持っており、かつ健康面に問題のない3名の方を選ばせていただきました。そして、柏と松戸の献血ルームを回るシフトを組み、万全の体制を整えたのです。
​そして今日、私の日本赤十字社・献血推進呼び掛けボランティアとしての第一歩が、ついにスタートしました。いただいた台本を頭に叩き込み、お腹の底から大声を張り上げて呼びかけを始めました。
​しかし、現実は甘くありませんでした。
活動は1時間おきに10分の休憩を挟むのですが、いざ始めてみると、1時間全力で喋り続けることがどれほど過酷か、身をもって知ることになったのです。全力の声は、あっという間に喉を痛め、声が潰れそうになってしまいました。
​その時、奇跡のような連携が生まれました。
同行援護のヘルパーさんも、私と同じ赤い前掛けを身にまとって隣に立ってくれています。私が苦しそうにしているのを察した彼女は、私が何も言わなくても、すっと隣で大きな声を出し、交互に呼びかけを始めてくれたのです。
​お腹の底から響く私の力強い大きな声と、隣の女性ヘルパーさんの美しく澄んだ声。この二つの声が交互に街に響き渡ることで、呼びかけに心地よいリズムが生まれ、マンネリ化を防ぐという素晴らしい効果をもたらしてくれました。一人の限界を、二人の絆が超えた瞬間でした。
​私たちの声は、確実に街行く人の心に届いていました。
同じ視覚障害を持ち、白杖を持った方が声に気づいて近寄ってきてくださり、熱心に話を聞いてくれました。その他にも、本当に多くの方々が足を止め、「頑張ってください」と温かい言葉をかけ、励ましてくださいました。
​献血は16歳から可能です。私たちの呼びかけに耳を傾け、「行ってみよう」と柏の献血ルームへ足を運んでくれた高校生3人組の姿を見たときは、胸が熱くなりました。
​決して、大勢の人が一気になだれ込むわけではありません。それでも、私たちが懸命に発する一言一言は、病気や怪我と闘う方々、そして難病に苦しむ患者さんたちのもとへ、貴重な血液を届けるための大切な架け橋です。まさに、命をつなぐための心の叫びであり、命をつなぐボランティア活動なのだと確信しました。
​今月の活動スケジュールをお伝えします。
​柏献血ルーム
場所:柏駅を出たダブルデッキのところ
日時:今月24日(金)、31日(金)
時間:11時から14時まで
​松戸献血ルーム
場所:キテミテマツド前の広場
日時:今月9日(木)、16日(木)、23日(木)、30日(木)
時間:11時から14時まで(13時から1時間は休憩となります)
原則、木曜日が松戸献血ルーム、金曜日が柏献血ルームの活動となっています。
​まずは、通りかかった際にぜひお声がけください。そして、もしよろしければ、献血への温かいご協力を心よりお願いいたします。
​今回の活動で、事務方のボランティアを30年も続けていらっしゃるシニアの女性にお会いしました。とても優しく、気品に溢れた素晴らしい高齢女性でした。
​その姿を見たとき、私は深く自分自身を見つめ直しました。
人は何のために生きるのか。
人のために、自分には一体何ができるのか。
人の役に立つ生き方とは、どういうものなのか。
​私も、あの女性のように、誰かの人生にそっと寄り添い、光を灯せるような人間になりたい。これからも、自らの心の声を社会へと発信し続けながら、誰かの命をつなぐために、この声を枯らすことなく歩んでまいります。