少子高齢化が深刻なスピードで進む現代の日本において、社会保障費の増大は避けて通れない現実です。特に福祉の現場を支え、誰もが安心して暮らせる社会を維持するために不可欠なのが、健康保険料をはじめとする公的財源です。福祉支援団体である私たちEYESROOM(アイズルーム)は、日々の活動を通じて社会保障制度の重要性を痛感しています。
​しかし今、この日本の福祉の土台を根本から揺るがし、真面目に負担を担っている多くの国民を愚弄する極めて深刻な事件が発覚しました。国を引っ張り、国民の模範となるべき政治家たちが、あろうことか自らの利益のために健康保険制度の盲点を突き、保険料の支払いを不当に免れていたのです。
​報道された事件の全貌は、日本の政治と制度の歪みを克明に映し出しています。
​まずは、直近で明らかになった参政党における問題です。党代表の記者会見により、所属する地方議員ら計10名が「国保逃れ」に関与していたことが発表されました。そのうち地方議員8名が、勤務実態がほとんどない法人の役員に名前を連ね、著しく低い役員報酬を基準にして社会保険に加入するという手法を取っていました。
​さらに呆れたことに、今回の調査では地方議員1名と党役員1名が、他の議員に対してこの脱法スキームへの加入を積極的に勧め、その紹介料(マージン)として金銭を受け取っていたことまで判明したのです。利己的な保身にとどまらず、制度の悪用をビジネスとして身内で横行させていた実態は、あまりにも悪質であり、言葉を失わざるを得ません。主導した議員は除名、実際に国保逃れを行っていた議員らには離党勧告などの処分が下されましたが、党としての管理責任は極めて重大です。
​そして、この悪質な手法は、すでに大阪維新の会(日本維新の会)でも先行して発覚していた問題と全く同じ構図です。
​維新の会では、兵庫県議や神戸市議、大阪市議などの地方議員6名が、ある一般社団法人の理事などに就任していました。彼らは年約1400万円といった高額な議員報酬を得ており、本来であれば年約110万円にのぼる高い国民健康保険料を納める義務がありました。しかし、実態のない法人から月数万円程度の形だけの役員報酬を受け取る形に偽装し、社会保険に切り替えることで、年間数十万円もの負担を不当に削減していたのです。維新の会はこの行為を「応能負担の趣旨を逸脱した脱法的行為」として該当議員を除名処分にしましたが、政治の浄化や身を切る改革を掲げる政党からこのような事態が相次いだことは、有権者への重大な裏切りにほかなりません。
​これらの事件の核心にある共通の道具が、一般社団法人という存在です。本来、一般社団法人は社会貢献や公益に資する活動を行うために設立されるべき仕組みです。しかし、一見すると社会のためになっているような企業・団体に見せかけながら、その実態は政治家たちの「国保逃れ」を組織的に受け入れるためのペーパーカンパニーとして悪用されていました。
​善意の皮をかぶった法人が、制度の穴を突く脱法行為の温床になっている現状は断じて許されません。こうした実態のない悪質なペーパー法人に対しては、設立要件の厳格化や活動実態の定期的な監査を行い、不正が発覚した場合には即座に法人格の取り消しや厳罰に処する強力な法規制が必要です。
​さらに深刻なのは、健康保険制度に存在するこのような致命的な抜け道が、一部の税理士系YouTuberや税理士インフルエンサーによって「節税テクニック」などと称してSNS上で大々的に拡散されていたという事実です。専門知識を悪用し、社会保障の根幹を破壊するような脱法行為を助長してインプレッションや私利を貪るインフルエンサーたちの行動は、社会的道義に著しく反しています。彼らが拡散する悪い情報によって、制度の歪みがさらに拡大しているのです。
​この問題に対して、厚生労働省をはじめとする国は直ちに対策を練り、法改正に着手しなければなりません。収入に応じた負担、すなわち「応能負担」の原則をいかなる例外もなく強制できるよう、法律を再度徹底的に見直すべきです。高額な議員報酬や他の事業収入があるにもかかわらず、形だけの低額な役員報酬を盾に社会保険料を免れるようなすり抜けを遮断する仕組みを構築しなければ、真面目に国民健康保険を払い続けている一般の国民がバカを見る、不公平極まりない社会になってしまいます。
​本来であれば、高い給料をもらいながら国民を守るための見本となるべき政治家が、先頭に立って保険制度の盲点を突き、自分だけ私服を肥やすなどということが世の中にあってはなりません。政治家が自らの保身と蓄財のために社会保障を食い物にするようでは、福祉の現場を守ることなど不可能です。各政党は個人の処分だけで幕引きを図るのではなく、組織としての連帯責任をきっちりと果たし、所属議員の資産や保険加入状況の全面開示を行うべきです。
​非常に闇が深く、日本の倫理観を問う大きな問題です。このような姑息な手段で社会を裏切るような人物は、そもそも政治家になる資格はありません。二度とこのような卑劣な脱法行為が起きないよう、国は直ちに法改正を行い、制度の歪みを正す方針を打ち出すことを強く求めます。私たちEYESROOMは、誰もが公平に支え合う、健全で揺るぎない福祉社会の実現を目指し、今後もこの問題の推移を厳しく注視してまいります。