【命の格差をなくすために:日本の小児臓器移植が直面する壁と未来への提言】

      

【命の格差をなくすために:日本の小児臓器移植が直面する壁と未来への提言】

日本における子供の臓器移植に関する課題をインフォグラフィックで表現した画像です。(日本語表記一部誤字あり)

​福祉支援団体「アイズルーム」代表、そして松戸市視覚障害者協会副会長の石原です。
​いつもブログをお読みいただき、ありがとうございます。今回は障害福祉の枠を超え、私たちの社会が向き合うべき極めて重く、しかし決して目を背けてはならないテーマである「子供の臓器移植」についてお話しします。
​日本における臓器移植法は1997年に制定され、その後2010年の法改正によって、本人の意思が不明であっても家族の承諾があれば15歳未満の子供からの脳死臓器提供が可能となりました。法的なガイドラインが整備されてからすでに多くの年月が経過していますが、日本の小児臓器移植をめぐる現状は、今なお極めて厳しい状況にあります。
​この深刻な社会課題について、なぜ進まないのか、何が原因なのかを整理して詳しく見ていきましょう。
​なぜ子供の臓器移植が進まないのか:3つの大きな要因
​1. 脳死判定という現実への戸惑いと社会の認識不足
​医療技術が進歩した現代でも、脳死状態のお子様は体に温もりがあり、人工呼吸器によって胸が上下に動いています。見た目はまるで眠っているかのように生きているため、ご家族がその死を直ちに受け入れ、臓器提供の決断を下すことは精神的に筆舌に尽くしがたい苦痛を伴います。これに加えて、社会全体で「脳死は人の死である」という理解や、日常的に臓器移植について話し合う文化がまだ十分に定着していないことが、ドナーが見つかりにくい大きな背景にあります。
​2. 海外との圧倒的な実績の格差
​日本の小児臓器移植の件数は、諸外国に比べて圧倒的に遅れています。例えば、アメリカなどでは年間数百件規模で行われている子供の心臓移植などが、日本では年間数件から十数件程度にとどまる年が少なくありません。この圧倒的なドナー不足が原因で、国内での手術を諦めざるを得ないのが実情です。
​3. 海外渡航移植に伴う「億単位」の費用と命の格差
​国内で移植のチャンスを待つことが難しいため、多くの患者家族は海外での移植に頼らざるを得ません。しかし、海外での手術や滞在には数億円という莫大な費用がかかります。クラウドファンディングや募金活動によってうまく費用を集められた幸運なケースもありますが、一般的にはそう簡単に数億円という大金は集まりません。
結果として、裕福な家庭や募金が大きく集まった家庭の子供は命を繋ぐことができる一方で、一般的な家庭で費用が工面できず、募金も集まらなかった場合は、お金という理不尽な壁によって大切な命が失われてしまうという残酷な格差が生まれています。
​結び:アイズルームからの提言
​福祉支援団体アイズルームは、すべてのお子様が平等に命の尊さを感じ、等しく生きるチャンスを与えられる社会であるべきだと強く信じています。生まれ育った家庭の経済状況によって、救えるはずの命が左右されるような未来は、決してあってはなりません。
​日本国内で子供の臓器移植が積極的に、そして迅速に行われるようになるためには、以下の変革が必要です。
​まず、医療機関における小児の脳死・臓器提供に関する体制の強化と、一般社会への正しい啓発活動を国を挙げて推進すること。そして、海外に頼らずとも国内の高度な医療ネットワークの中で命を救い合える「循環型の社会」を構築することです。さらに、どうしても海外渡航が必要なケースにおいては、募金だけに頼るのではなく、公的な支援や医療費助成の枠組みを広げるなど、経済的な壁を取り除く制度設計が急務です。
​子供たちの未来と命の重さは一律であり、そこに格差が存在してはなりません。日本が真の福祉国家として、重い病気に苦しむお子様とそのご家族を置き去りにしない社会へと進んでいくよう、私たちはこれからも声を上げ、提言を続けてまいります。 
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