【人間の力には限界がある。高齢者ドライバーの事故を防ぐため、今すぐ「科学の力」の義務化を】

      

【人間の力には限界がある。高齢者ドライバーの事故を防ぐため、今すぐ「科学の力」の義務化を】

高齢化社会において、高齢者の運転手が重大事故を起こすイメージ画像です。

​近年、高齢ドライバーによる痛ましい交通事故が後を絶ちません。直近でも、私たちの安全への意識を根底から揺るがすような、極めて深刻な事故が相次いで発生しています。
​記憶に新しいのが、静岡県浜松市で発生した水泳教室の送迎マイクロバスによる死傷事故です。逮捕された運転手は85歳のアルバイト従業員でした。この事故の恐ろしい点は、衝突の直前から異常な兆候がいくつもあったにもかかわらず、悲劇を防げなかったことにあります。
​運転手は事故の直前、踏切の遮断機を押しのける形で進入していました。その後、わずか250メートルの距離を15分もかけてノロノロと走行するという異常事態に陥っていたのです。後続車のドライバーがその異変に気づき、運行会社へ「バスの様子がおかしい」と連絡を入れました。会社側は無線で状況を確認しようとしましたが、適切な対応や運行停止の指示が行き届かないまま、バスはそのまま走行を継続。結果として赤信号を完全に無視して交差点に突入し、横断歩道を渡っていた女性2人をはねて死傷させました。さらに恐ろしいことに、バスはそのまま現場から逃走するように数百メートル暴走を続け、最終的に民家に衝突してようやく停止したのです。
​また、今年5月には、福島県郡山市の磐越自動車道で、部活動の遠征中だった高校生らを乗せたマイクロバスがガードレールなどに衝突する凄惨な事故も発生しています。
​この事故では、新潟県の私立高校の男子ソフトテニス部員ら20人を乗せたマイクロバスを、68歳の運転手が運転していました。バスはコントロールを失って激しく衝突し、車体が大きく大破。その衝撃で、一部の生徒が反対車線まで投げ出されるという極めて危険な状態となり、前途ある17歳の男子高校生1人が尊い命を落としました。さらに、同乗していた部員など26人が重軽傷を負うという大惨事となったのです。逮捕された68歳の運転手は、警察の調べに対して「速度の見極めが甘かった」「曲がり切れなかった」と供述していますが、日頃から足が悪く、周囲から「そろそろ運転をやめないとね」と言われていたという実態も報道されています。
​これら2つの事件に共通しているのは、どちらも「多くの乗客や、これからの未来がある若者の命を預かる送迎の現場」で起きたという事実、そして「人間の運転能力や判断力だけに依存することの限界」を突きつけている点です。
​年齢を重ねれば、どれだけ気をつけていても、何らかの拍子に反応が鈍くなったり、速度の見極めが甘くなったり、突然の体調不良で意識を失ったりするリスクは確実に高まります。これは60歳を超えれば誰にでも起こり得る現実です。だからこそ、私たちは「人間の注意義務」に頼るだけの安全対策から脱却しなければなりません。
​今こそ、強制的に「科学の力」を利用した安全対策を導入すべきです。
​現代の自動車技術は大きく進歩しています。現在では、一般的な軽自動車であっても優れた「衝突被害軽減ブレーキ(追突防止アシストブレーキ)」が搭載されています。このシステムは、車が人や障害物にぶつかりそうになると、まず音や表示でドライバーに激しく警告を発します。それでもドライバーがブレーキを踏まない、あるいは間に合わない場合、システムが自動的かつ強力にブレーキをかけ、衝突を回避、または被害を最小限に抑える仕組みです。
​実際に自動車販売店で市場の状況を確認したところ、最新の新車はもちろんのこと、中古車市場であっても総額70万円程度から、このアシストブレーキがしっかりと搭載された車両が数多く流通しています。つまり、技術的にも予算的にも、安全装置を導入するハードルは決して高くはないのです。
一般の高齢ドライバーがアシストブレーキ搭載車に乗ることを義務付けるのは当然のことですが、それ以上に、多くの命を乗せて街中や高速道路を走るタクシーやマイクロバス、大型バスには、こうしたシステムや「アクセルとブレーキの踏み間違い防止システム」の搭載を完全に義務付けるべきです。
​さらに、街中を巡回するようなマイクロバスには、速度を強制的に時速60キロ以内に制限する「速度リミッター」の設置も有効な手段となります。万が一、運転手が運転中に意識を失ったり、速度の判断を誤ったりする事態になっても、速度が制限され、自動的に作動する衝突回避ブレーキが備わっていれば、大惨事を未然に防ぐことができるからです。
​人間の注意力には限界があります。精神論や個人の責任を追及しているだけでは、悲劇的な事故は今後も増え続ける一方です。テクノロジーという確かな安全弁を社会全体で強制的に取り入れ、二度とこのような悲しい事件を繰り返さないための具体的な仕組みづくりが、今まさに求められています。
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