​ビジネスの戦場においても、個人の生き様においても、常に「勝つ」ことを意識し続けている私の活力源は、何と言ってもカツ丼です。
​かつやのカツ丼は私の大好物であり、店舗を訪れると「梅・竹・松」の3種類から、いつも中間でボリュームもしっかりある「竹」を注文します。現在のかつやの価格を確認すると、カツ丼(竹・120gロース)は税込869円(本体価格790円)、カツ丼(梅・80gロース)は税込682円(本体価格620円)となっています。 
​ここで外食産業における原価の構造と、かつやの強み・事実関係について検証してみましょう。
​一般的に飲食業界の原価率(F-cost)の目安は30%程度とされています。それに対して「かつやは食材に50%使っている」というお話ですが、これは「全メニューの原価率が一律50%」というわけではありません。しかし、かつやの看板商品である「カツ丼(梅)」や「ロースカツ定食」などの主力目玉商品に関しては、北米産の高品質な豚肉を熟成処理して使用し、オートフライヤーなどの機械化・オペレーション効率化によって人件費を徹底的に抑え、原価率を極限まで高めて顧客還元を行う手法(原価率40~50%近くに達する目玉商品で客を惹きつける戦略)を取ってきたことで知られています。
​つまり、利益を削ってでも高品質で美味しいものを大量に提供する「薄利多売」のビジネスモデルで業界を牽引してきました。
​しかし近年、業界の勢力図に大きな変化が起きています。長らくカツ丼・とんかつ専門チェーンとして首位を独走していた「かつや」に対し、急速に追撃を行ってきたのが松屋フーズが展開する「松のや」です。
​カツ丼・とんかつ界の2大巨頭である「かつや」と「松のや」の最新比較データは以下の通りです。
​◆ かつや vs 松のや(松乃家)比較データ
​運営会社
・かつや:アークランドサービスホールディングス株式会社(親会社:アークランズ株式会社)
・松のや:株式会社松屋フーズホールディングス
​店舗数
・かつや:国内約570店舗(フランチャイズ中心に展開)
・松のや:国内約600店舗超(2025年春に500店舗を突破し、松屋との併設店舗も含めて店舗数で業界1位へ躍進) 
​売上高および営業利益率(グループ・業態概要)
・かつや(アークランドサービスHD):外食事業売上高 約500億円規模、営業利益率 約8~10%(高い収益性を維持)
・松のや(松屋フーズHD全体):グループ売上高 約1,500億~1,800億円(松のや単体では推定200億~300億円規模)、営業利益率 約2~4%
​メインのカツ丼(並盛・梅相当)の税込価格
・かつや「カツ丼(梅)」:税込 682円
・松のや「ロースかつ丼」:税込 690円(みそ汁付き) 
​◆ なぜ「かつや」は店舗数で「松のや」に抜かれたのか?専門的分析 
​長年ダントツの1位を誇っていたかつやが、店舗数等で松のやに追い抜かれた最大の理由は「出店モデルの構造的違い」と「物価高への適応力」にあります。
​第一に、出店スピードの差です。かつやはロードサイドを中心とした独立店舗(単独店)の新規出店がメインであり、店舗確保や建設にコストと時間がかかります。一方、松のやはグループの強みを生かし、既存の「牛めし 松屋」の店舗に厨房機器を追加して一体化させる「松屋・松のや併設店(ハイブリッド店舗)」を怒涛の勢いで増やしました。これにより低コストかつ超高速で全国に店舗を増やすことに成功したのです。
​第二に、値上げに伴う客離れと割安感の差です。原料高や物流費高騰を受け、かつやは段階的な値上げを実施してきました。かつやのカツ丼(梅)は682円ですが、みそ汁は別売り(税込165円)のため、セットにすると847円となります。対する松のやは店内飲食で「みそ汁が無料サービス」で付くため、690円で完結します。この実質的な価格差が、相次ぐ値上げで敏感になった利用者の客離れを引き起こした要因と分析できます。 
​私自身、かつやも松のやも両方訪れて食します。しかし、カツ丼を心から愛する者として食べ比べた時、やはり昔ながらのこだわりを感じる「かつや」の味や衣の仕上がり、割り下の旨味が頭一つ抜けて上であると実感しています。
​私はこれまで自ら事業を起こし、商売の現場で生きてきました。商売とは勝負の世界であり、勝ち続けなければ生き残れません。何か勝負所があれば、カツ丼を喰らい「この勝負にも勝つ」と自らに言い聞かせてきました。
​実際のところは、誰よりも多くベンチャー企業を立ち上げては誰よりも多く失敗を経験してきた懲りない人間です。しかし、鞄一つからやり直すことになっても、自分を信じる力と明確な目標さえあれば、必ず道は開けます。事業経営は決して甘いものではありませんが、私の原動力はこの熱いカツ丼にあります。息子の大学生時代にも、勝負根性を込めてカツ丼をよく作ってあげたものです。
愛するかつやが再び業界の絶対王者として輝きを取り戻すために、経営コンサルタントとしてのEYESROOMの力を駆使した分析と経営の視点から、5つの経営改善策を提案します。
​①店内みそ汁無料化およびセット感の強化による割安感の再構築
松のやに客が流れる最大の要因である「みそ汁別売り問題」に対し、店内飲食限定でみそ汁の無料提供や、お得な「定食・丼セット」の刷新を行い、値上げによる割安感の低下を払拭します。
​②メディアミックス効果・ターゲットマーケティング
公式アプリによるリピート促進。SNSの最大活用、YouTube動画、TikTok、インスタグラム、Xなどの発信をリアルタイムで発信する。
Z世代や若年層顧客・女性客の定着率を引き上げます。
​③出店戦略の転換(既存店併設・小型都市型店舗の開拓)
単独ロードサイド店だけに依存せず、フードコートへの出店や、他業態とのコラボ・省スペース型店舗(テイクアウト・デリバリー特化型)を加速させ、松のやの併設出店スピードに対抗します。
​④アレンジカツ丼や期間限定メニューの圧倒的差別化とマーケティング強化
かつやの強みである「肉の質の高さ」と「圧倒的なボリューム」を活かした限定メニューをさらに尖らせ、SNSでの話題化(バズマーケティング)を狙うことで、味の品質重視のファン層を確実に集客します。
​⑤オペレーション自動化とDX投資によるコスト削減と還元
食券機やモバイルオーダー、自動調理機器の積極導入により店舗の人件費率を削減し、浮いたコストを食材品質の維持と価格の抑制へ還元する循環を作ります。
​私ども福祉支援団体 アイズルームでは、これまでの実戦経験と経営ノウハウを活かし、事業に挑む方や苦境に立つ事業者を支える「独立企業相談室および「倒産廃業相談室」を運営・コンサルティングしております。
​事業の立ち上げから、万が一の撤退・再起のサポートまで、目標を持って挑戦する皆様を全力でバックアップいたします。詳しい事業内容やご相談については、ぜひ公式ホームページ( https://eyesroom.com/ )をご覧ください。
​激動の時代を勝ち抜く事業者の皆様も、勝負の日の活力にカツ丼を喰らい、共に勝ち進んでいきましょう。