​障害福祉団体アイズルームのブログへようこそ。代表の私自身の経験ですが、私の母も90歳で他界するまで、70代という比較的早い段階から車椅子での生活を余儀なくされていました。自由に移動できる自由が制限されたことで、生活の質であるQOLが非常に厳しくなり、本人の苦しむ姿を間近で見てきたからこそ、高齢期の移動手段の確保には強い危機感を持っています。
高齢になると足腰が弱くなるのは自然なことであると捉えられがちですが、医学的な見解から分析すると、車椅子生活に移行してしまう背景には明確なメカニズムが存在します。医師が指摘する最大の要因は、よちよち歩きや筋力低下から始まる転倒と、それに伴う大腿骨などの骨折です。高齢者が一度骨折をして入院をすると、わずか1週間寝たきりになるだけで太ももの筋肉が最大で20パーセントも減少すると言われています。この急激な筋力低下、いわゆる廃用症候群が引き金となり、歩行の意欲や能力が失われ、車椅子から離れられなくなるという悪循環が生まれるのです。
​車椅子に乗らないようにするための医学的な予防策としては、関節の痛みや違和感を放置せず早期に適切な医療を頼ること、そして日常的な有酸素運動や筋力トレーニングにより下半身の筋肉を維持することが不可欠です。少しでも歩行に不安を感じた段階で、医師や理学療法士の指導のもとでリハビリテーションを行い、身体の機能を維持し続ける姿勢が何よりも求められます。
​しかし、個人の努力や医学的なアプローチだけで車椅子生活を防ぐことには限界があります。障害福祉の観点から日本の社会環境を見渡すと、車椅子の方が自立して生活し、移動するための障壁があまりにも多いのが現状です。
​現在の日本の道路は、車椅子を日常的に利用する人々にとって非常に生活しづらい構造になっています。道路のあちこちにあるわずかな段差であっても、前輪が引っかかれば転倒の危険に直結します。さらに、歩行者通路であるはずの場所を自転車が猛スピードで走り抜けたり、狭い歩道に自転車が乱雑に放置されていたりすることで、車椅子の進路が完全に塞がれてしまうことも日常茶飯事です。このような環境の悪さが、高齢者や障害のある方の外出意欲を削ぎ、結果としてさらなる身体機能の低下を招いています。
車椅子30代女性が多目的トイレを利用するために、扉を開けてまさに入ろうとしている笑顔の写真イメージです。
また、移動時における最大の深刻な問題の一つが、車椅子の方が安心して使用できる多機能トイレの圧倒的な不足です。外出先に車椅子対応のトイレがあるかどうかが不透明なため、水分補給を我慢して体調を崩してしまったり、外出そのものを諦めてしまったりする方が後を絶ちません。誰もが安心して街に出るためには、主要な施設や公共交通機関だけでなく、街全体の至る所に車椅子対応トイレを増設し、その整備状況をわかりやすく発信していくことが不可欠です。
​このような屋外の厳しい現実があるからこそ、私たちはまず最も身近な生活拠点である住環境から変えていく必要があると考えております。私たちアイズルームのアクションとして、誰もが自由に動くことができるバリアフリーの住環境の構築を強く推奨し、その普及に全力を尽くしています。
​住宅内における段差の解消、車椅子でもスムーズに旋回できる廊下幅の確保、手すりの適切な配置、そして車椅子でアプローチしやすいトイレや浴室への改修は、単に生活を便利にするだけのものではありません。住環境がバリアフリー化されていることで、足腰が弱まった後も自宅内での自立した移動が可能となり、結果として車椅子への完全な依存を防ぐためのリハビリ空間としても機能するのです。
​誰もが年齢や障害の有無にかかわらず、自由に行動し、高いQOLを維持しながら笑顔で暮らせる社会を実現するために、私たちはこれからも道路や公共トイレといった社会インフラの改善を訴え続け、理想的なバリアフリー住宅の提案を続けてまいります。皆様もぜひ、ご自身やご家族のこれからの暮らしについて、一緒に考えてみてください。